自分のことを、自分で決められるうちに。任意後見契約で考える「もしもの備え」
2026年9月30日
「将来、自分で物事を判断することが難しくなったら、誰に支えてもらえばいいのだろう」
「財産の管理や生活に関する手続きを、家族に任せることになったら……」
年齢を重ねると、そんな不安を感じることがあるかもしれません。
将来、認知症などによって判断能力が十分でなくなった場合に備え、あらかじめ自分で支援してくれる人を決めておく制度の一つが「任意後見契約」です。
任意後見契約では、まだ自分で判断できるうちに、将来お願いしたいことや、支援してくれる人を自分で決めておきます。
今回は、実際に任意後見人として支援に携わっている当社代表へのインタビューを交えながら、任意後見契約について分かりやすくご紹介します。
任意後見契約とは?
任意後見契約とは、将来、自分で物事を判断することが難しくなった場合に備えて、あらかじめ「誰に」「どのようなことをお願いするか」を決めておく契約です。
ポイントは、自分の判断能力が十分なうちに、自分の意思で支援してくれる人を選べることです。
任意後見契約は、公証役場で公正証書を作成して結びます。
ただし、契約を結んだからといって、その日から任意後見人による支援が始まるわけではありません。
将来、本人の判断能力が低下した際に、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されると、任意後見契約の効力が生じ、任意後見人による支援が始まります。
任意後見監督人は、任意後見人が契約内容に沿って適切に支援を行っているかを監督する役割を担います。
つまり任意後見制度は、
「元気なうちに、自分の将来について自分で決めておく」
ための制度なのです。
任意後見契約を結んだら、すぐに支援が始まる?
任意後見契約を結んだだけでは、すぐに任意後見人が財産管理などを始めるわけではありません。
大まかな流れは次のようになります。
1.本人が十分な判断能力を持っているうちに、任意後見契約を結ぶ
2.公証役場で公正証書を作成する
3.将来、本人の判断能力が低下する
4.家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる
5.任意後見監督人が選任される
6.任意後見契約の効力が生じ、任意後見人による支援が始まる

このように、任意後見契約は「今すぐ誰かにすべてを任せるための契約」ではありません。
将来、自分だけでは判断や手続きが難しくなったときのために、あらかじめ備えておく仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
任意後見人には、どんなことを任せられる?
任意後見人に任せられるのは、契約で定めた範囲の法律行為です。
たとえば、次のようなことが考えられます。
| 内容 | 例 |
|---|---|
| 財産管理 | 預貯金の管理、不動産に関する手続きなど |
| 生活に関する手続き | 公共料金の支払い、各種契約に関する手続きなど |
| 福祉・介護に関する手続き | 介護サービスの契約など |
| 行政手続き | 各種申請や手続きなど |
ただし、任意後見人ができることは、契約で定めた代理権の範囲に限られます。
「任意後見契約を結べば、生活に関することを何でも任せられる」というわけではありません。
そのため、契約を作成する際には、将来どのような場面で支援が必要になりそうかを具体的に考えておくことが大切です。
任意後見契約は、どのくらい費用がかかる?
任意後見契約を結ぶ際には、公正証書を作成するための費用や、登記に関する費用などがかかります。
また、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されると、任意後見契約の効力が生じます。その後は、契約で定めた内容に応じて、任意後見人への報酬が発生する場合があります。
このほか、支援に必要となる交通費や各種手続きにかかる費用など、実費が発生することもあります。
具体的な費用は、契約内容や依頼する相手によって異なるため、契約前に確認しておくと安心です。
任意後見契約のメリット
自分で支援してくれる人を選べる
任意後見制度では、将来支援してくれる人を、本人が元気なうちに自分で選ぶことができます。
「家族にお願いしたい」
「信頼できる専門家にお願いしたい」
など、自分の希望に合わせて考えることができます。
将来の財産管理や生活に関することを、あらかじめ決めておける
任意後見契約では、判断能力が十分なうちに、「こういう場合にはこうしてほしい」という希望を契約に反映することができます。
将来、自分だけでは手続きが難しくなった場合にも、あらかじめ決めておいた内容に沿って支援してもらえることが、任意後見契約のメリットの一つです。
家族だけに負担が集中することを避けられる
財産管理や各種手続きなどを家族が担う場合、精神的にも実務的にも負担が大きくなることがあります。
あらかじめ支援してくれる人や任せる内容を決めておくことで、家族だけに負担が集中することを避ける方法の一つになります。
実際に支援しているからこそ感じる「任意後見の意味」
ここからは、実際に任意後見人として支援に携わっている当社代表取締役社長・岡正伸に話を聞きました。
――どのような方から相談を受けることが多いですか?
岡:
「ご相談が多いのは、70代後半くらいの方ですね。
お一人で暮らしている方や、ご夫婦で暮らしている方から、これから先のことを考えておきたいと相談を受けることがあります。
チラシをご覧になって相談に来られる方もいれば、ご紹介でつながることもあります。」
――実際に任意後見人として支援する中で、どんなことを感じますか?
岡:
「以前、任意後見契約を結んでいた方が入院されたことがありました。
その際、病院で手続きが必要になったのですが、任意後見契約に関する登記事項証明書を提示することで、本人との関係や権限を確認してもらえたことがありました。
もちろん、病院によって必要な手続きは異なりますし、任意後見人だから何でもできるということではありません。
ただ、支援する側としては、法的な根拠があることが大きいと感じます。」
任意後見契約では、契約内容や代理権の範囲が登記され、登記事項証明書によってその内容を証明することができます。
実際の手続きでは、それぞれの機関によって必要な確認や書類が異なりますが、こうした「自分が支援する立場にあることを示せる」という点も、任意後見制度の意味の一つといえるでしょう。
任意後見契約を契約するなら「元気なうちに」
任意後見契約について考えるとき、重要なのが「いつ準備するか」です。
任意後見契約は、本人に十分な判断能力があるうちに、自分の意思で契約しておく必要があります。
また、任意後見契約は公正証書で作成するため、公証役場での手続きも必要になります。
そのため、判断能力だけでなく、実際に手続きを進めるための体力や余裕があるうちから、少し早めに考えておくことが大切です。
――任意後見について、早めに考えておいたほうがいい理由はありますか?
岡:
「任意後見契約は、本人が元気なうちに、自分の意思で契約しておく必要があります。
公証役場で公正証書を作成する手続きもありますので、「まだ大丈夫」と先延ばしにするのではなく、判断能力が十分なうち、そして実際に動ける元気があるうちに、少し早めに考えておくことが大切だと思います。」
任意後見契約を結ぶときの注意点
任意後見人は慎重に選ぶ
任意後見人は、将来、自分の財産や生活に関わる支援を任せる人です。
そのため、「信頼できるか」「長期的に支援を続けられるか」といった点を考えて選ぶことが大切です。
家族や親族だけでなく、専門家や法人などに依頼する方法もあります。
――任意後見人を選ぶ際、どのようなことを意識するとよいでしょうか?
岡:
「個人の場合、その方が病気になったり、亡くなったりすると、支援を続けることが難しくなる可能性があります。任意後見人が亡くなった場合には、任意後見契約も終了します。
そのため、個人に依頼する場合は、子どもなど自分よりも若い人を選ぶことも一つの方法でしょう。
また、個人だけでなく、法人に依頼することも選択肢の一つです。法人であれば、担当者が変わったとしても、組織として支援を引き継いでもらえる可能性があります。」
長期的な支援を考えるのであれば、依頼先を選ぶ際には、こうした点も確認しておくことが大切です。
法人に依頼する場合は、担当者が変わった際の引き継ぎ体制や、どのような形で支援を行うのか、費用や契約内容などを事前に確認しましょう。また、法人であっても、事業の終了や経営状況の変化などによって、将来的に支援を継続できなくなる可能性もあります。
一方で、心を許せる家族や親しい人などにお願いすることで得られる安心感もあります。個人と法人、それぞれの特徴や条件をよく確認し、自分に合った相手を選ぶことが大切です。
契約内容は、できるだけ具体的に考える
任意後見人に任せられることは、契約で定めた代理権の範囲に限られます。
そのため、「財産管理をお願いしたい」というだけでなく、どのような手続きや場面で支援が必要になりそうなのかを、できるだけ具体的に考えておくことが大切です。
将来の生活を想像しながら、「何をお願いしたいのか」を整理してみましょう。
任意後見契約は公正証書で作成する
任意後見契約は、公正証書によって作成します。
契約内容や必要な手続きについては、公証役場や専門家などに相談しながら進めるとよいでしょう。
任意後見契約だけでは、すべての「もしも」に備えられるわけではない
任意後見契約は、判断能力が低下した後の財産管理や生活に関する支援を行うための制度です。
一方で、任意後見契約だけで、人生の最後からその後まで、すべてのことを決められるわけではありません。
たとえば、
【任意後見契約】
判断能力が低下した後の財産管理や生活に関する支援
【身元保証】
入院・施設入所などの際に求められる保証に関する支援
【死後事務委任契約】
本人が亡くなった後の各種手続きを、生前に委任しておく契約
【遺言】
自分の財産を誰にどのように残すのか、意思を示しておくもの
というように、それぞれ役割が異なります。
「任意後見契約を結んだから、これで全部安心」と考えるのではなく、自分に必要な備えを一つずつ整理していくことが大切です。
当社でも、将来の「もしも」を考えるお手伝いをしています
将来のことを考えるとき、最初からすべてを決める必要はありません。
まずは、
「もし自分で判断できなくなったら、誰に支えてほしいか」
「どんなことをお願いしたいか」
「亡くなった後は、どんなことを希望するか」
といったことを、少しずつ考えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
任意後見契約は、その中の一つの選択肢です。
大切なのは、誰かに決めてもらうのではなく、自分が元気なうちに、自分の希望を考えておくことです。
当社では、葬儀のご相談だけでなく、将来の生活や身寄りのない方の支援などについてもご相談をお受けしています。
また、「身元保証契約」と「死後事務委任契約」を組み合わせた「家族代行サービス」も行っています。


将来について「何から考えればいいのか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
葬儀のことだけでなく、これからの人生をどう安心して過ごしていくか。
一緒に考えることから、終活を始めてみませんか。
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投稿者プロフィール

- セレモニー心は家族葬専門の葬儀社として、皆様の葬儀に対する不安や悲しみに寄り添って参りました。近年、少子高齢化や価値観の多様化により葬儀社に求められることは大きく変わろうとしています。家族葬専門「セレモニー心では、お客様目線を第一に考え、地味でもなく、派手でもなく「ちょうどいい」と感じていただける空間をご提供し、温かいご家族の時間をお過ごしいただきたいと心から願っております。
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